(R.3.12.28記)
安全保障の基礎W
                           防人と歩む会 顧問(前理事長) 渡邉秀樹

 自衛隊は国民の生命・財産を守る組織である、と聞いてその通りだと思いますか?
ところが、自衛隊法はそのようには書いてありません。

 (自衛隊の任務)

第三条 自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる
任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。

2 自衛隊は、前項に規定するもののほか、同項の主たる任務の遂行に支障を生じない限度において、
かつ、武力による威嚇又は武力の行使に当たらない範囲において、次に掲げる活動であつて、別に法律
で定めるところにより自衛隊が実施することとされるものを行うことを任務とする。

一 我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応して行う我が国の平和及び安全の確保に資
する活動

二 国際連合を中心とした国際平和のための取組への寄与その他の国際協力の推進を通じて我が国を含
む国際社会の平和及び安全の維持に資する活動

いかがですか?

私どもは防大入校直後に、この任務の意味を次のように教育されました。
平和と独立は、自衛隊が生命財産を犠牲にしてでも守らなければならない重大な任務であると。

もう昔話になりますが、文化勲章受章者でマルクス経済学者の森嶋通夫氏がロンドン大学教授であった
ときに、通称「白旗赤旗論」というのを確か文藝春秋に発表しました。もしソ連が攻めてきたら白旗を
出し、そして赤旗を掲げれば日本は助かるという考えで、当時言論界で大論争になりました。
確かに生命財産は当面守れるかもしれません。しかし、平和と独立を守ることはできません。そして、
生命財産も次第に守れなくなっていくでしょう。

平和と独立、生命財産、どちらを最終目的とするか。これを間違えると、とんでもない結果を招くこと
になりますので、よく理解して欲しい点です。


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